煙火の花道

水面の華〜水中花火








海の面を照らしは消ゆ花火かな  田上光子

   夜空に開花する大輪の華”花火”それは火の芸術です。
しかし、花火は夜空にだけ開花するのではありません。
日中の明るい空、地上、そして水面で。将来は宇宙空間でも・・・。
この水面で開花する花火を、 私達は”水中花火”と称しています。
この水中花火の打ち上げ?いえ、消費(業界用語です)の方法は大きく分けて、
3通りがあります。現場の状況に応じて、また演出によって消費方法を変えるのです。




   いずれの場合でも安全性を考え、点火は、遠隔操作又は燃焼時間を長くした導火線
で退避する時間を与え、開花する花火の近くに我々花火師がいないように工夫しています。
この”水中花火”は波の静かな海や、川、湖沼の花火大会でしか、ご覧になれません。
普段なかなか見ることのできない”水中花火”の製造風景と、消費の様子を紹介します。


水中花火のpic
水中花火のpic

Aタイプ 
水面上で半円に開花します。
最も一般的な水中花火。
 このページではこのタイプの
解説をすることにします。

Bタイプ
水面から少し上昇して開花します。
芳賀火工独自のタイプ。
この解説は企業秘密なので・・・(^^;;


 



玉に燃焼秒時の長い導火線を取り付けます。
燃焼秒時は30秒に設定されています。
取り付けは隙間がないよう細心の注意をはらって行われます。
作業者は浅野和志さん。



右の玉にビニールで防水加工を施します。
発砲スチロール製の”浮き”を取りつけて、完成です(中央)。



全員救命胴衣を着用して漁船の上より投下します。
風で消えないよう、点火には”ガストーチ”を使用します。
これを”導火線”に点火して、着火を確認後、投下します。
熟練した技が要求されます。





撮影:(株)リンカイグループ・廣田弘道
1999年8月 松島にて





   水中花火が花火大会の主役となることはあまりありません。
主役はスターマインをはじめとした、夜空で開花する花火です。
主役の、上空で開花する花火に対して、水面で開花する花火は脇役です。
競演して花火大会を盛り上げたり、間合いをうめてプログラムを充実させたり・・・。
皆さん、水辺の花火大会では、この”名脇役”の活躍に目を止めてみてください。


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