煙火の花道

五大陸の掛け橋〜もうひとつのオリンピック







闇に浮く五輪のマーク上げ花火  藤原俊正




オリンピック・・・
それはスポーツを通して、国と人種が交流する祭典です。
そしてこの華やかな祭典の閉会式で、花火による、国と人種を越えた、
交流会が行われました。
2000年10月1日、全世界が注目する、
今世紀最後の大イベント、シドニーオリンピックの閉会式です。
この世紀のイベントに”華”を添えるため、五大陸から、
それぞれを代表する花火業者が花火を 打ち上げることになりました。
アジア代表として、参加した私達の仕事を紹介します。



現場のpic 五大陸の花火師が集合。
アメリカ・オーストラリア・日本・スペイン・南アフリカ
の五ヶ国です。
黒島隆明、渡辺一彦、渡辺孝好、山谷恵一の
4名の花火師が日本から参加。



現場のpic オーストラリアの規則では安全のため、
8インチサイズ以上の筒は、鉄の容器
に立てて砂で埋めて固定します。
これは24インチ、つまり20号の筒です。


現場のpic 導火線に防水と防火のため、慎重にアルミクラフト
テープを巻きつけます。
打ち上げは6日後なので、万全の処置を施します。


現場のpic その上にさらに防水のビニールシート
で覆います。これで大雨でも安心です。
実はこの夜、激しい雷雨が襲いました。
万全を期したつもりなのですが、その夜は
心配で眠れない夜を過ごしました。
電気点火なので落雷には弱いのです。
翌日の点検では無事で、ほっとひと安心。


花火のpic 打ち上げ当日です。湾内の4ヶ所から打ち上げます。
各打ち上げ場所の間隔はそれぞれ1km、
幅4kmにわたって花火が上がります。
午後3時にそれぞれの台船に乗船しました。
ハーバーブリッジ前の海上の台船に
固定された20号筒です。


花火のpic オペラハウス前の海上の台船に
固定された20号筒。
”天気晴朗なれども浪高し”
おまけに夕方から風が強くなり
打ち上げの時は風速10mを越える強風が吹きました


そして、いよいよ打ち上げ時間が近づいてきました。
台船に乗ってから7時間後、保安のため、船上に用意してある、
コンテナに全員、移動しました。このコンテナは”鉄製”なので、
この中に入ると安全なのです。(狭い船の上で花火を打ち上げるのですから)
この中で、無線による指示で花火に”点火”するのです。
さーて本番です。世紀の晴れ舞台です!